ハービンジャー産駒の牡馬について
こんにちは、がーひーです。
今回のブログではハービンジャー産駒について考察してみましたので、色々と記載してみます。
※投稿主がキャロットクラブ会員であることから、キャロットクラブ募集馬中心の分析となりますので、ご了承ください。
今回は、前回のブログで記載した種牡馬別分析の第1回目となります。
ハービンジャーはイギリス出身の競走馬です。ブログを書いている2020年11月現在は、社台スタリオンステーションで種牡馬として在籍しています。
私がハービンジャー産駒を研究しようと思ったきっかけは、2つあります。
1つ目は2019年産駒(2020年度募集)のキャロットクラブ募集馬で数頭気になる馬がいたからです。(後に2019年産駒の注目馬を記載します)
2つ目は主流血統(サンデーサイレンス系、キングカメハメハ系)が弱くなる条件に強いことに気づいたからです。主流血統と違う条件の強い馬を掴めると、特定のGⅢやGⅡでまとめて上位にくるような馬を掴むことができます。主流血統の馬が弱い条件として、たとえば2月開催後半の傷んだ京都芝や非根幹距離の地方重賞なんかは、ハービンジャー産駒は大好物なイメージがあります。
では、そもそもハービンジャーとはどのような馬なのでしょうか?
ハービンジャー産駒の特性を考えるにあたり、まずは現役時代のハービンジャーについて纏めてみます。
●現役時代のハービンジャー(略歴)
・3歳時の4月に未勝利戦を勝利
・その後、ゴードンS(イギリスの重賞)を勝つが、それ以降は3歳時に勝てなかった
・半年ほどの休養を挟んだ後、4歳でイギリスの重賞を4連勝した
・「キングジョージ6世&クイーンエリザベスS」では、2着馬に11馬身をつけて圧勝
・「キングジョージ6世&クイーンエリザベスS」で負かした馬は後の凱旋門賞勝ち馬
・IFHA(国際競馬統括機関連盟)のレーティングで135ポイント(歴代2位)を獲得
・その後、インターナショナルSに向けて調整していた中、骨折して引退
・通算成績9戦6勝(うちG1を1勝)
ハービンジャーは、全9戦全てをイギリスで出走し、2,400m~2,500mを中心に6勝しました。典型的なイギリス2,400mに強い馬です。血統評論家の亀谷先生もお話されていますが、東京2,400mに強い血統とイギリス2,400mに強い血統の特性は全く違います。
ハービンジャー自身の活躍時期の遅さやキングジョージで圧勝した経歴から、ディープインパクト産駒等のサンデー系産駒とは全く違う条件で活躍するのも頷けます。
ハービンジャーは欧州的なスピードの継続力と成長力、パワーを備えています。東京2,400mの高速馬場での瞬発力勝負というよりはイギリス2,400mのような深い芝、アップダウンの激しいコース、小回りで生きる機動力、つまりスタミナや持続力、ロングスパートが生きる条件が得意です。
●ハービンジャー産駒の長所
・3歳秋以降が強い
・札幌、函館、京都、中山競馬場に強い
・小回りの芝2,000mの機動力が求められる条件に強い
・道中の機動力が求められる条件に強い
・ローカルの非根幹距離(1,800m、2,200m)に強い
・重馬場、開催後半等の時計がかかる条件でさらに強くなる
●ハービンジャー産駒の弱み
・新馬戦に弱い(※後の名馬は新馬戦も勝ちますが、基本的には弱い印象)
→トモが緩く、スタートや二の足が出ない印象があります
・ダート戦に弱い(※一部狙える条件有)
・高速馬場等の上がりが早い条件に弱い
・つまりスローペースからの直線ヨーイドンは苦手
・短距離、長距離に弱い
・外回りに弱い
→ノームコア等の例外はありますが、基本的には狙えない印象です
●キャロットクラブでの傾向(2015年-17年産駒)
・募集馬18頭中、回収率150%かつ賞金5,000万円以上は5頭
・募集馬18頭中、勝ち上がりは11頭。勝ち上がり率61%
・回収率150%かつ賞金5,000万円以上を達成している馬は4頭。価格帯は3,000万円代と5,000万円代
・募集額が2,000万円台以下では結果が伴っていない。3,000万円台と5,000万円代で結果がでている
・西と東で大きな違いはない
●血統とニックス(2015年-17年産駒)
・母父サンデーサイレンスの成績が良い
・母系にサンデーサイレンスがあるからといって、必ず活躍するわけではない
・母ディアデラノビアとの相性は特に良いが、名牝系全般と相性が良いわけではない
・母方にNorthern Dancerが入らない方が成績が良い
→キャロットクラブの近年の産駒のみに当てはまる傾向でした
母系にNorthern Dancerが入っているパターンは、キャロットクラブでは成績が良くなかったです。成績下位の馬に見られる傾向でした。(成績上位の馬にも入っていますが、頭数は少なかったです)
重賞馬には母系にNorthern Dancerを含む馬も多くいるため、キャロットクラブの募集馬がイレギュラーなのかもしれません。現に他のクラブではありますが、ブラストワンピースなんかはNureyevやEl Gran Senor(共に父がNorthern Dancer)の血が母系に含まれています。
また母父、もしくは母父父にサンデーサイレンスが入ってても、必ずしも活躍するわけではありません。 ただ、どちらかというとサンデー系特有の日本的なバネ感(緩さではない)が出た馬の方が活躍しやすいという傾向はありそうです。
●ハービンジャー産駒の馬体の特徴(キャロットクラブ募集馬18頭より)
・繋ぎが短い馬が多い
→短くても走る馬は走るのでOK。故障リスクに捉われすぎない
・後肢の繋ぎが柔らかい馬が多い
→トモ、繋ぎともに後肢の緩さには要注意
●活躍馬の特徴
ブラストワンピース(※キャロットクラブの馬ではない)
この3頭に共通する馬体の特徴を探してみました。
◎肩、トモの筋肉が張り出している
→だからこそ早い時期から活躍できたのだと思います。調べてみると3頭とも新馬勝ちしていました。ハービンジャー産駒は緩く出る馬が多く、走る馬と走らない馬では、特に筋肉の質に差が生まれる印象を受けました。サンデー系が弱い非主流条件は、上がりのかかるパワータイプの馬場であることが多いことから、筋肉量が多いことはデメリットになりづらいと思っています。
◎トモの質が良い
→トモのボリューム、質、緩さの無さ等、総合的にトモの質が良かったです。逆にトモが緩いと一転して走らなくなります
◎肩、トモ、繋ぎが緩くない
→パーツが緩く出やすいハービンジャー産駒において、3頭は緩さが見られませんでした
・後ろから見た歩様が良い
→半腱半膜様筋の浮き出る姿、真っすぐに歩いていました
・馬体の総合評価が良い
→3頭とも馬体評価50点中35点(私の評価)以上でした。参考までに下記に3頭の評価を纏めさせて頂きます。
下記、3頭の馬体分析です。
ブラストワンピース(ツルマルワンピースの2015)
●基礎情報
誕生日:2015/4/2
母父:キングカメハメハ
募集価格:2,000万円
所属:大竹正博厩舎(東)
生産牧場:ノーザンファーム
母出産時年齢:7歳(1番子)
馬体重:451kg
体高:157.0cm
胸囲:179.0cm
管囲:20.8cm
●馬体分析
バランス:9点/12
肩:6点/7
トモ:9点/9
緩さ:5点/5
可動域:8点/9
歩様:6点/8
備考:0点
合計:43点/50
個人的には、ハービンジャー産駒牡馬の最高傑作かなと言っても過言ではない出来だと思う馬です。
募集時の特徴としては、前後肢の筋肉と繋ぎが緩すぎず、筋肉量も豊富で、いかにも走りそうな歩様です。ポイントとしてあげたトモの点数はこの馬だけが満点でした。
●基礎情報
誕生日:2013/3/19
母父:サンデーサイレンス
募集価格:5,000万円
所属:矢作芳人厩舎(西)
生産牧場:ノーザンファーム
母出産時年齢:11歳(5番子)
馬体重:443kg
体高:151.5cm
胸囲:176.5cm
管囲:21.0cm
●馬体分析
バランス:11点/12
肩:4点/7
トモ:6点/9
緩さ:5点/5
可動域:5点/9
歩様:6点/8
備考:0点
合計:37点/50
個人的には、この馬がハービンジャー産駒で狙っていきたい目安となる馬体かなと思っています。多少ずんぐりむっくりなイメージはありますが、緩さも感じないし、トモにしっかり筋肉も付いている。馬体重も問題なし。体高が低く、繋ぎが短いですが、ハービンジャー産駒の特徴として、ここで割り引いてはいけません。この馬は動画よりも写真映えしている印象があります。
プロフェット(ジュモーの2013)
●基礎情報
誕生日:2013/2/27
母父:タニノギムレット
募集価格:3,000万円
所属:池江泰寿厩舎(西)
生産牧場:ノーザンファーム
母出産時年齢:7歳(5番子)
馬体重:434kg
体高:155.5cm
胸囲:169.0cm
管囲:20.5cm
●馬体分析
バランス:9点/12
肩:4点/7
トモ:8点/9
緩さ:5点/5
可動域:6点/9
歩様:6点/8
備考:0点
合計:38点/50
付くべきところに筋肉は付いているが、どちらかと言えば細身のハービンジャー産駒です。ハービンジャー産駒はこの馬のような一見細身に見えるも活躍します。この馬もトモの大きさと質には目を引きます。本馬は動画の方が良く見える馬だと思いました。個人的には写真よりも動画がよく見える馬には活躍馬が多く、非常に印象が良いです。
●2019年産駒の注目馬(キャロットクラブのみ)
ディアデラノビアの2019
●基礎情報
誕生日:2019/3/13
母父:サンデーサイレンス
募集価格:5,600万円
所属:中内田充正厩舎(西)
生産牧場:ノーザンファーム
母出産時年齢:17歳(11番子)
馬体重:426kg
体高:166.0cm
胸囲:180.0cm
管囲:20.0cm
●馬体分析
バランス:11点/12
肩:3点/7
トモ:3点/9
緩さ:3点/5
可動域:7点/9
歩様:6点/8
備考:0点
合計:33点/50
私が今年度、5口で申込をした馬です。結果はあいにく出資できずでした。落選した後も考えていたのですが、上級条件で活躍するためには筋肉量が前肢、後肢ともに不足しているかなと思うようになってきました。牡馬であれば、もう少し筋肉量があって、迫力ある歩様を見たいかなと思います。ただ、10月13日に更新された動画では、当初の頼りなさが徐々に薄らいできているような印象も受けました。今のところ性格難の気配もなさそうなのはプラス材料です。
体のバランスやバネ感は最高に良いものを持っていると思うので、もしこの馬が牝馬であれば・・・と思うことが少しだけあります。バネ感が強いですから、もしかしたら東京競馬場でのスロー→上がり勝負なんて条件もこなしてくれるかもしれません。
中内田厩舎というのも面白いですよね。
落選しましたが、5口申込をした者として最後まで見守りたいと思います。
ディアデラノビア19の当初の評価は下記のリンクからどうぞ。
ディアデラノビア19の当初の評価
ジュモーの2019
●基礎情報
誕生日:2019/3/15
母父:タニノギムレット
募集価格:5,000万円
所属:西村真幸厩舎(西)
生産牧場:ノーザンファーム
母出産時年齢:13歳(7番子)
馬体重:482kg
体高:158.0cm
胸囲:176.0cm
管囲:21.0cm
●馬体分析
バランス:11点/12
肩:5点/7
トモ:8点/9
緩さ:5点/5
可動域:5点/9
歩様:5点/8
備考:0点
合計:39点/50
出資申込はしなかったのですが、後々見返した時に、すごく良い馬だと思った馬です。
点数は、全兄のプロフェットよりも高い点数を付けさせてもらいました。
上手くいけば、札幌2歳Sを狙えそうかなと思っています。
特に筋肉の質はプロフェットを超える素質を持っていると思いました。
筋肉の質はハービンジャー産駒が活躍するための必須条件ですので、大活躍する素地はあるのではないでしょうか。
特段、大きな問題(気性面含む)がなければ確実に2~3歳から活躍してきそうです。
×1であれば、確実に取れた馬だけに逃した魚は大きかったと思っています。
10月13日の更新では、気性の幼さについて少し言及されていますが、今の時点での話ですから将来はどうなるか分かりません。
今のうちに気性面の課題が克服できれば大きいですね。ノーザンファームに期待しましょう。
本馬の繋ぎの短さですが、個人的にはあまり気にする必要はないかなと思っています。故障するしないは大切な判断材料ですが、意識しすぎると活躍する馬までも振るいにかけてしまいます。そもそもハービンジャー産駒は繋ぎが短く出やすいということもあるため、そういう意味でも気にし過ぎる必要はないかなと思っています。
西村真幸厩舎も新進気鋭の勢いがある厩舎で、非常に良いと思います。
●まとめ
最後にハービンジャー産駒の特徴を纏めさせて頂きます。
・血統
サンデーサイレンスで日本で活躍できる切れ味を注入させつつ、今回の分析では母系にNorthern Dancerを含まない方が成績が良い傾向ではあったが、母系にNorthern Dancerが複数あったとしてもあまり気にし過ぎない。あくまでも馬体重視で馬を選ぶ。
・馬体
緩さの少ない馬を選ぶ。特に①後肢、②繋ぎの緩さは成績に直結しやすく、厳しい目線で選定する。緩い馬は走らない馬が特に多い。募集時からの成長を期待しての一発逆転もほとんどない。募集時の歩様を重視する。トモの筋肉が張り出している馬を選ぶ。歩様はサンデー系っぽいバネやメリハリを感じる歩様が良い。多少、ずんぐりむっくりな馬体でも活躍する。繋ぎが短くて活躍する(故障もする)。
写真はキャロットクラブのホームページ掲載の情報であり、転載許可を得ております。無断転載をしないようにお願いいたします。