ロードカナロア産駒の牝馬について
こんにちは、がーひーです。
今回のブログは、種牡馬別分析の第2弾。
ロードカナロアですが、香港で走った際の名前は「龍王」でした。
厨二心をくすぐる良い名前です。
今回、ロードカナロア産駒の牝馬を考察するにあたり、自分の中で引っかかっていることについて先に記載しておきます。
それは「一部の重賞勝ち馬を除き、成績が良くないこと」です。
つまり、「そもそも出資検討から外しても良いのでは?」と僕は考えています。
もしよろしければ、皆様のご意見をコメントにてお教え頂けると助かります。
考察を行う前に、このブログをご覧いただいている皆様に1つ質問をさせてください。
ロードカナロア産駒の牝馬で1番稼いだクラブ馬はなんでしょう?
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答えは、アーモンドアイですよね。
では2番目は???
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ちなみに、私は調べるまでは分かりませんでした。
正解は「トロワゼトワル」です。
アーモンドアイ以外のクラブ馬がとても地味なんですよね。
G1で好走した馬すらなかなか思いつきません。
ちなみに牡馬はけっこう思いつきます。サートゥルナーリア、ステルヴィオ、ダイアトニック、レッドルゼル・・・etc
ちなみにキャロットクラブ所属馬で、2015年~2017年産駒のロードカナロア産駒の牝馬の成績は下記の通りです。
●2015年~2017年産駒の成績
募集馬:全18頭
回収率150%かつ賞金5,000万円以上をクリアした馬:0頭(※)
勝ち上がり:5頭(27.7%)
※ 出資額+維持費の回収に必要だと考えている最低条件
種付額1,000万円の産駒牝馬が上記の成績であること。
正直、キャロットクラブで母馬優先を見据えたとしても、魅力的な種牡馬とは言えない成績だと思います。
この時点でロードカナロア産駒の牝馬を考察する意味はないかなと考えてしまいます。
以前にロードカナロア産駒の牡馬を考察したことはありましたが、牝馬は一切考察しませんでした。
●ロードカナロア産駒牡馬の考察
これは、単純にロードカナロア産駒の牝馬の成績がアーモンドアイを除くクラブ馬全体で見た時に、良くなかったからです。
ではなぜ今、ロードカナロア産駒の牝馬を考察しようと思ったのか。
それは2021年のキャロットクラブの募集馬に大注目の2頭が募集される確率が高いためです。
ラドラーダの2020
シーザリオの2020
注目されている方も多いのではないでしょうか。
走る馬の特徴を事前に予習しておくことで、最優先を使うかどうかの判断を素早く行えるようにする。
これが今回の考察の主な目的です。
ロードカナロア産駒の牝馬は今後も募集が多いでしょうから、取捨を素早く行えるようにしておくことも有効だと思い、今の時点で考察しておく意味はあると考えています。
では、ロードカナロアとはどのような馬だったのでしょうか?
今回は以前の牡馬編よりも掘り下げて、ロードカナロアを取り巻く背景から記載します。
●現役時のロードカナロアについて
・2歳時
12月の小倉芝1,200m戦で6馬身差をつけて、新馬戦をデビュー勝ち
・3歳時
1月にジュニアC(芝1,600m)、3歳500万下(現1勝クラス)芝1,400mと2着続きで勝ちきれなかったが、その後は1,200mに距離を戻して重賞勝ちを含む4連勝を飾った。
・4歳時
G1初挑戦となる高松宮記念(芝1,200m)、函館SS(芝1,200m)、セントウルS(芝1,200m)を勝ちきれず。セントウルSから岩田康誠騎手に乗り替わり。スプリンターズS(芝1,200m)で初のG1勝ち、その後日本馬には鬼門と呼ばれていた香港スプリント(芝1,200m)を勝利した。
・5歳時
高松宮記念とスプリンターズSの両制覇による春秋スプリントG1制覇、今まで勝ちきれなかった1,600mレースである安田記念制覇、2年連続の香港スプリント制覇等、数々の伝説を残し、引退。
・通算成績19戦13勝(うち2着5回、3着1回)。芝1,200m戦を中心に活躍し、3着を外したことはなく、連対率は94%だった。
・短距離馬としてはタイキシャトル以来の年度代表馬に選出された。
まさにスプリントの鬼といった競走馬でしたが、距離は1,600mまで伸ばせる点も優秀でした。
・引退後、社台スタリオンステーションで種牡馬となった。
・初年度(2014年)の種付け料は450万円。2014年、2015年の種付け頭数はともに250頭以上。2017年から産駒がデビュー。2017年産駒でファーストシーズンリーディングサイアーを獲得。初年度産駒から短距離~中距離を中心に活躍馬(アーモンドアイ、ステルヴィオ、ダノンスマッシュ 等)を出している。
・2年目となる2018年9月に歴代4位のスピードでの産駒通算100勝達成。2018年アーモンドアイのジャパンカップ(ワールドレコード)勝ちやキングカメハメハの引退等も重なり、種付け料が1,500万円に上がることが決定。
・2019年になり、サートゥルナーリア 等、クラシックでの活躍馬が出ることもわかり、種付け料が2,000万円に上がる。
・2021年は1,500万円となったが、エピファネイア、ドゥラメンテ、キズナの1,000万円を抑えて、種付け料の最高額を維持している。
◆生産者の目線
・母方の特徴に合わせた距離適性になりやすい
◆一口馬主の目線
・2歳戦から人気なりに走る
・勝ち上がり率が優秀(牡馬と合わせて勝ち上がり率が約40%)
・ダートも走るので潰しが効く(1,600m以上はダメ)
・芝1,200~芝1,600m戦に強い
・小倉、福島以外はこなす器用さがある
・重馬場は厳しいが、やや重まではこなす
・東京であれば、2,400~2,500をこなす馬も出る
良く言えば、その馬なりに器用に立ち回れる優等生タイプに出やすいですが、悪く言えば尖った能力がない、いわゆる「器用貧乏」な特徴が出やすいと言えます。
あと、初年度産駒の出来が素晴らしく良いですね。本馬を参考に、結果が出ていない初年度産駒だからこそ、馬体を見て積極的に出資を検討しようと改めて思いました。
◆生産者の目線
・種付け料が高い
・牝馬に生まれたらヤバい???(クラブに流す候補の筆頭)
◆一口馬主の目線
・そもそもクラブ所属牝馬の成績が良くない
・ダートは中山が苦手
・延長ローテーションが苦手
・穴馬が上位に来る確率が低い
・飛びぬけた成績の馬が少ない
長所を裏返したような短所となります。
少しいやらしい話ですが、「牝馬に生まれれば最悪、クラブに流せば良い」と僕がノーザン側の立場であれば思うと思います。そのような視点からも要注意な種牡馬だと思います。
個人的には、戦績の割には種付け料が少し高いような気がしています。またアーモンドアイはあくまでもイレギュラーとして扱うべきレベルの馬と考えてます。
●血統とニックス
キングカメハメハとの最大の違いはストライドが大きくて柔らかい馬が出やすいという点。母レディブラッサムの持つSecretariat×Syrian Sea 3×4のクロスの影響で、柔らかさで走る馬が出やすいと考えられます。筋肉量を補うためにNureyev自身のクロス、Sadler`s WellsやFairy Kingとのクロスにより、パワーを補うのが有効とされています。
また、キングカメハメハと似ている点としては、母系の適性をそのまま引き継いだ馬を出しやすいという特徴があります。アーモンドアイ(ジャパンカップ1着)、キングオブコージ(目黒記念1着)、地方でのダート重賞勝ちもある。長距離の重賞で東京と相性が良いというのも、柔らかい体質と合わせて考えれば、理解できますね。
ロードカナロア産駒の馬体を見ても柔らかさが出やすいというのは納得できるところで、どの産駒の募集時の動画を見ても、緩さが残る馬がほとんどです。その中で各パーツの出来(特緩さ)を見て、厳しく出資検討する必要があります。
馬体については、以下の項目で細かく考察します。
●活躍馬の馬体の特徴
本来であれば、キャロットクラブの募集馬で考察をしたかったのですが、基準を満たす該当馬がいませんでした。
そこで今回は一口クラブDBでのロードカナロア産駒の牝馬(クラブ問わない)のうち回収率で上位10頭のうち、動画を観ることができた馬の考察を行います。
◆馬体分析の対象馬
アーモンドアイ
レッドレグナント
レッドシャーロット
この3頭は私が基準とする「回収率150%かつ賞金5,000万円以上」を満たしています。
以下、活躍馬の共通点です。
◆活躍馬の共通点
・トモの大きさが「少し大きい」以上である
・トモの筋肉が「薄く張り出している」以上である
・肩、トモ、繋ぎに緩さがない
・歩行時、足元に力強さがある
→後肢を最後まで蹴り切れている、後肢を前方に戻すスピードが速い
・歩行時、半腱半膜様筋が浮き出ている
・後肢にバネ感がある
血統面で各パーツが緩く出やすい傾向にあるため、その緩さを見極めることがロードカナロア産駒牝馬の良い馬に出資する第1歩だと思います。各パーツの中で緩すぎる要素がある場合は、その時点で切りで良いと僕は考えています。
各パーツに緩さがないことは必須条件。価格なりの筋肉量や力強い立ち姿も最低限求めたいですね。これらの要素があった上で、後肢にバネ感を感じる歩様ができているかが重要。というのもロードカナロア産駒の牝馬には筋肉量やバネ感が少なく、緩めで柔らかい馬が多い印象があります。このような募集馬に引っかからないように、毎日募集時の動画を観て目を肥やす必要があります。
ちなみに僕は緩い馬が良く見えるタイプのため、けっこう引っかかりやすいタイプの種牡馬と自負しています。。笑
下記、クラブ募集された活躍馬3頭の馬体分析です。
●馬体分析
アーモンドアイ(フサイチパンドラの2015)
●基礎情報
誕生日:2015/3/10
母父:サンデーサイレンス
募集価格:3,000万円
所属:国枝栄厩舎(東)
生産牧場:ノーザンファーム
母出産時年齢:12歳(7番子)
馬体重:429kg
体高:153.5cm
胸囲:175.5cm
管囲:19.7cm
●馬体分析
バランス:10点/10
肩:6点/7
トモ:7点/10
緩さ:7点/7
可動域:9点/9
歩様:7点/7
備考:後肢の戻す速さとバネ感+1点
合計:47点/50
私が言わずとも誰もが知る名馬となった馬です。もはやただの女王ではなく、覇王と呼ぶべき女傑です。
G1を9勝。賞金額の最高額を更新しました。
僕が一口馬主を続ける中で、このような馬に出会える確率は非常に低いと思います。
私が馬体評価を行った中では、過去最高の47点でした。
ロードカナロア産駒の牝馬というだけでなく、牝馬全体を通じて「この馬に似た募集馬に出資したら良い」のお手本になる馬だと思います。
馬体が分からない人は、とりあえずこの動画を100回観て、他の馬と比べれば良いと思います。僕は定期的に観るようにしています。シルク様、Youtubeにアップして頂き、本当にありがとうございます。勉強させて頂いています。
個人的にアーモンドアイの馬体で評価すべき点は、どの項目も高水準にありつつも、後肢のバネ感や可動域においても他馬を圧倒する点です。テストで例えると、全科目の平均点が高い上に、毎回100点を取れる科目があるイメージでしょうか。
動画を観ると、アーモンドアイは募集時から凄かったことが分かります。
レッドレグナント(エンプレスティアラの2015)
●基礎情報
誕生日:2015/2/3
母父:クロフネ
募集価格:2,000万円
所属:大竹正博厩舎(東)
生産牧場:ノーザンファーム
母出産時年齢:11歳(7番子)
馬体重:443kg
体高:153.0cm
胸囲:178.0cm
管囲:19.8cm
●馬体分析
バランス:8点/10
肩:5点/7
トモ:3点/10
緩さ:7点/7
可動域:5点/9
歩様:7点/7
備考:0点
合計:35点/50
2021年1月3日現在で現時点で4勝しています。主に芝1,400m~1,600mで走り、先日のターコイズSにも出走しました。オープンクラスでは少し足りない感じはありますが、現時点で十分収支がプラスになっているため、問題ありません。
募集時の写真と動画では馬格があり、緩さもなく、力強い歩様ができています。動画は写真よりも馬体が良く見えませんでした。各パーツの出来も良く、それでもオープンクラスまでいくのも納得の出来だと思いました。
安くて収支もプラスになる。アーモンドアイのレベルの馬に出会うことはそうそう出来ないとおもいますので、レッドレグナントのような高回収率の馬を狙えるかが、ロードカナロア産駒の牝馬に出資する際の1つのポイントになりそうです。
レッドシャーロット(シルバーフォックスの2015)
●基礎情報
誕生日:2015/2/29
母父:クロフネ
募集価格:2,400万円
所属:庄野靖志厩舎(西)
生産牧場:ノーザンファーム
母出産時年齢:7歳(2番子)
馬体重:430kg
体高:151.0cm
胸囲:171.0cm
管囲:19.6cm
●馬体分析
バランス:5点/10
肩:5点/7
トモ:1点/10
緩さ:6点/7
可動域:3点/9
歩様:6点/7
備考:0点
合計:26点/50
募集時の写真を盛りすぎじゃないか疑惑のレッドシャーロットです。募集時の動画を観ると、写真のような筋肉ゴリゴリ感は感じられません。2勝しているだけに、緩さは感じられませんし、歩様も力強さを感じました。ですが、そこまで高評価というわけではありません。
東サラ2頭はどちらも母父がクロフネですね。また、今回紹介した3頭すべてが2015年産駒とこの年の層の厚さを感じます。
●2019年産駒の募集馬評価
キャロットクラブの2019年産駒で1頭、気になる募集馬がいましたので、馬体を点数化してみます。
ジンジャーパンチの2019
●基礎情報
誕生日:2019/4/4
募集価格:5,600万円
所属:池添学厩舎(西)
生産牧場:ノーザンファーム
母出産時年齢:16歳(9番子)
馬体重:466kg
体高:152.5cm
胸囲:177.0cm
管囲:19.7cm
●馬体分析
バランス:8点/10
肩:6点/7
トモ:8点/10
緩さ:7点/7
可動域:5点/9
歩様:5点/7
備考:0点
合計:39点/50
本馬は募集時にも点数化しており、その際は馬体点数38点でした。現時点で再評価した点数もほぼ同じでした。
筋肉が内側から張り出しているのがパっとみて分かる馬体で、良い馬体だなと思います。
ただ、飛節がそこまで大きくない等、馬体で気になる点があること、厩舎等の不安要素もありながらのロードカナロア牝馬に5,600万円は高すぎるかなと思い、募集当時は出資申込には至りませんでした。
最低でもオープンクラスは狙えそうな馬体をしてますよね。
本馬がどこまで勝ち上がってくれるか、今から楽しみです。
●まとめ
・血統
キングカメハメハと違い、血統的に柔らかい馬が出やすい。また、母方の特徴を引き継いだ馬が出やすい。
・馬体
「柔らかい馬が出やすい=筋肉量が少なくて緩めの馬が出やすい」が当てはまる馬。僕の場合ですが、アーモンドアイ以外は何かしら気になる要素があることが多い。
募集時の歩様は柔らかく、可動域が広く見えるため、歩様の良さに惑わされないようにする必要がある。現にキャロットクラブでは実績を上げた馬は1頭もいない。
キャロットクラブの募集に際しては、現時点では当たりの馬が出る方が稀と認識したうえで、馬体を厳しくジャッジする必要がある。
また、種付け料が高額であることから、有力な募集馬は値段も高くなりやすく、回収率の観点でも募集馬を選定する必要がある。現時点では、無理に狙わなくても良い種牡馬と判断します。
写真はキャロットクラブ、東京サラブレッドクラブのホームページ掲載の情報であり、転載許可を得ております。無断転載をしないようにお願いいたします。